〜学園サスペンス〜

ここはいわずと知れた3−1組である。
僕は黒霧 涼也。いつもこのクラスのリーダー的存在の人の周りに居る人を眺めていて、「あっ!いたの黒霧くん。」
的な人物だ。
ついたあだ名は「サイレント黒霧」僕の周りにはいつも人が集まらず僕の趣味は読書、それも「サスペンス」ものが好きだ。
だが僕にも親友がいる。それは和田君だ。和田君はゲームが大好きで、僕達が親友になれたのはゲームのおかげだ。しかし学校では和田君はいわばリーダー的存在で、この地味な僕が近ずけるはずもない・・・
こんなぼくにも好きな人がいる。それはクラスのアイドル的存在「井上」さんだ。だがこのことは誰にもいってはいけない。なぜなら僕の初めての友達、和田君も井上さんのことが好きだからだ。こんなことをいってしまったら今の関係がくずれてしまう・・・そんなことは絶対ダメだ。
和田君の友達の中の1人、近藤君は・・・怖い。いつも蛇のような目で僕のほうを見てくる。
僕が和田君に近ずけれない理由の一つがこれだ。
あれは数学で担任の教師「藤森」先生だ。藤森先生はいつも僕に話しかけてくれる先生だ。その先生が今日席替えをすると言い出した。
藤森「今からくじを配るのでみんなとってね。」
皆は席について騒いでいる。
和田「おっ!黒霧じゃん!ラッキーだな!お前と同じ班になるの初めてだよな?」
黒霧「うん。そうだね・・・」
和田「よっしゃ。じゃあ語り合おうぜ!」
黒霧「うん」


近藤「・・・・チっ・・・」


      ――3週間前――
ここは和田君の家。和田君は僕に相談があるらしい
和田「あの・・・さ、オレ・・・井上のことが好きなんだ。」
黒霧「えっ・・・そうなの?」
和田「ああ。だからちょっと協力して欲しいことがある。井上は読書が好きらしい。それもサスペンスものが。黒霧はサスペンスものに詳しいだろ?だからそれについて教えて欲しい。たのむ!」
黒霧「いいよ・・・僕でよければ何でも聞いてよ」
和田「本当か?ありがとう!ところで、お前も井上のことが好き・・・なんてないよな?オレは嘘つく奴が一番嫌いだぜ」
黒霧「そんなことないよ。僕はそんなこと考えている暇なんてないよ」
和田「そうか。わかった。じゃまた明日な」
黒霧「じゃ、また明日」


今、文化祭の練習真っ最中だ。でも僕は歌がうまいわけでもないし、さほど大きな声もでないのでいつもボソボソと下を向いて歌ってしまう・・・
近藤「おい!黒霧!お前喧嘩売ってんのか?せっかく俺が歌ってやってんのになんでお前が歌わないんだよ!」
山本「確かに近藤の意見も一理あるな。けどその言い方はきつすぎるぞ」
  山本くんは頭もよくスポーツもできるので皆に好かれている
近藤「ほら見ろ!山本もああいってるぜ!何とか言えよ!」
黒霧「けど・・・」
近藤「けどなんだよ!歌えないとでもいいたいのか!?」
和田「おい、近藤!そのへんで止めといてやれ、黒霧が怖がっているだろ?」
近藤「チっ・・・わかったよ」
黒霧「・・・・・」
これで2回目だ。昨日もこんなことがあった。そして和田君にはまた助けてもらった。本当に感謝してもしきれない。
和田「そして黒霧、お前も少しは歌ったらどうだ?みんなの足を引っ張ることだけはやめてくれよ」
黒霧「ごめん・・・」
和田「よし、じゃあ今日これで解散だ。どうせこんなムードで歌っても歌えやしないしな」
近藤「けっもうやる気でねーよ」
そういいながらみんな帰っていった。

      ―――帰り道―――
近藤「おい和田・・・なんで黒霧なんかと仲良くなったんだ?」
和田「別にそんなことどうでもいいだろ?仲良くなるのに理由なんていらない」
幸田「質問にはちゃんと答えようで」
近藤「幸田の言うとおりだ。ちゃんと答えろ」
和田「それを聞いてどうするっていうんだ?」
近藤「別になんにもしねーよ。ただ俺はあいつが気に食わない」
山本「お前・・・なにかたくらんでいるだろ?」
近藤「なにもたくらんでなんかないさ。ただ俺はなんであんなやつと仲良くなったかが知りたいだけだ」
和田「オレと黒霧はゲームを通じて仲良くなった。それだけだ」
幸田「ゲームかよっ」
近藤「そうか・・・わかったよ。じゃあな」
和田「・・・・・じゃあオレもここで。また明日な」
幸田「また明日ー」
山本「ああ、じゃあな」



僕は今一人で帰っている。それは1年のときからずっとだ。
幸田「山本〜〜?いまからゲーセン行こうぜー」
山本「悪い・・・今日は塾がある」
幸田「つれないねぇ〜」
あれは山本くんと幸田君だ。2人で帰っているらしい。
キィィィィ!!車が急ブレーキをかける
黒霧「危ない!」



黒霧「はぁ・・はぁ・・危かった・・・もう少しでひかれるところだったよ・・・」
幸・山「!?何がどうなったんだ・・・?」
黒霧「いいんだ・・・気にしないで・・・それじゃ・・・」
幸田「もしかし俺は黒霧に命をすくわれたのか・・・?」
山本「そうみたいだな・・・すまん・・・俺が横にいながら・・・」
幸田「そうか・・・俺は黒霧に・・・」

      ―――黒霧の家―――
  はぁ・・・はぁ・・・僕は死んでしまうかと思った・・・
  あと数秒遅れていたら・・・
  でもそのおかげで幸田君を助けることができた・・・
  僕は人の命を救えることが出来たんだ・・・こんな僕でも・・・」

  ―――いろいろあって1ヶ月後 文化祭―――
和田「いよいよ次が俺たちの番だ。みんな、頑張ってくれ。黒霧、いけるな?」
黒霧「うん・・・大丈夫・・・」
和田「よし、じゃあみんな!めざすは優勝だ!」
evoryone「おーーーーー!」
「次は〜3年一組〜千の風になって〜」ナレーションの声が鳴り響く

山本「うわぁぁああああ!!!」
この世のものとは思えない叫び声が遠くから聞こえてくる
先生「何ごと!?」「警察だ!警察を呼べ!」
ピーポーピーポー
警察「死亡推定時刻、9時8分、ナイフで心臓を一突きです」
刑事「ご苦労。第一発見者はきみかね?山本君」
山本「はい・・・そうです。確かに僕が第一発見者です。でも僕は殺してなんかいません・・・近藤を・・・」
刑事「そうか・・・君は殺してないというんだね?山本くん。けどまぁ残念なことに君は容疑者だ」
山本「まってください。オレがトイレに行ったのは9時15分。おかしくないですか?これじゃつじつまがあいませんよね?何なら横の席の人が知ってると思うので聞いてみてください」
刑事「わかった。君の言うことを信じよう」
山本「それと、トイレに行ける時間は8時30分から40分の間だけです。40分からトイレに行く人は普通いません。その間にトイレに行く人をオレは3人見ました。ドアの近くなのでよく分かるんです」
刑事「それは・・・誰なのかね?」
山本「それは・・・和田、黒霧、幸田です・・・」

刑事「おい!今すぐその子たちえを呼んで来い!」
警察「は!ただいま!」


和田「な・・・なんだよ、何があったんだ?」
山本「近藤が・・・殺された・・・」
幸田「おい・・・嘘・・・だろ・・・?」
黒霧「・・・」
山本「うそなんかじゃない。うそで警察はこない」
和田「そうか・・・それでここに呼ばれたってことはオレ達は容疑者ってわけか」
刑事「そうだ。君の言うとおりだ。でも今の段階では山本くんの証言だけだから
   まだ君達だけと決まったわけではないがね」
和田「そうですか・・・残念です・・・あんなに近藤とは仲がよかったの疑われるなんて・・・」
幸田「なんでオレ達が容疑者なんですか・・・?」
刑事「山本くんによると君達3人は普通行かない時間帯にトイレに行っていた。
   そしてそのすぐあとに近藤くんが殺されているのだよ」
幸田「岩代!てめぇオレ達が信用できなかったのかよ!?」
山本「まぁ落ち着け、確かにオレはお前達を売った。でもそれは事実だろ?」
幸田「くっ・・・」
和田「オレはその時間にトイレに行ったけどオレはこの中の誰とも会わなかったぞ。
   黒霧、お前は?」
黒霧「僕は・・・幸田君と・・・」
刑事「そうなのかい?幸田くん」
幸田「はい、黒霧の言うとおりオレは黒霧に会いました。けど戻る途中でちょっとあっただけです!」
刑事「ということは黒霧君、君が一番最後にトイレに行ったことになるね?」
黒霧「そうです・・・僕が最後です・・・」
刑事」そうか、君が最後か・・・だとしたら一番怪しいのは黒霧君、君だということになる」
   タッタッタ
井上「ちょっと!みんな!もう合唱始まっちゃうよ!」
黒霧「!?・・・」
藤森「あなたは・・・刑事さん?とみんな・・・どうしてこんなところに?」
井上「刑事・・・さん?」
刑事「あなた方はクラスの生徒さんとその先生ですね?今この子達に事情聴取しているんですが」
藤森「事情聴取ってそんな容疑者みたいな・・・」
刑事「まさにそうですよ」
井上「うそ・・・」
黒霧「うわぁああああ!!」
everone「!?」